1万6,000人の医療・福祉の現場を守る ——ログイン不要で「疑って確認する」文化を浸透させる
2026/04/24
社会福祉法人 聖隷福祉事業団
事業内容:
事業内容:社会福祉法人 聖隷福祉事業団は、保健・医療・福祉・介護の事業を幅広く展開。施設数は小規模拠点を含め約200、職員数は約1万6,000人規模。地域の医療・福祉を支える大規模組織として、セキュリティ意識のばらつきに対応するため、メール訓練をはじめとした教育施策を推進している。
Index
導入の背景 ― 職員の「個々の意識」をどう高めるか
皆様のお仕事と役割について教えてください。

(杉保さん) 当事業団では本部の情報システム部門でセキュリティ関連の業務を担っており、その一環としてメール訓練の設計から実施、結果のフォローまでを担当しています。
(後藤さん) 上長と私の2名を中心に、合計6名でヘルプデスクやセキュリティ周りの業務を担当しています。メール訓練の運用は杉保がメインで、私は必要に応じてサポートする形です。
メール訓練を導入しようと考えたきっかけは?
(杉保さん) 医療機関を標的としたサイバー攻撃が増えているなか、当事業団もセキュリティ強化に取り組んでいます。ただ、従業員が使うメールの安全性は、結局のところ一人ひとりのセキュリティ意識に委ねられてしまう部分が大きいので、1万6,000人規模の職員一人ひとりの意識を、どう高めていくかが課題でした。
(後藤さん) 導入前は他社のメール訓練サービスを1年間利用していました。同じ形式が続くと職員が飽きる可能性もあるし、複数製品を試してみたいという意向もあり、加えて価格面の見直しもあって、1年で一度区切り、改めて選定し直しました。
前のサービスで課題に感じていたことは?
(杉保さん) 職員数が多く、職種や勤務形態など働き方もばらばらな中で、負担をかけずに訓練から教育コンテンツまで受講してもらうことが一番の課題でした。また、教育コンテンツの数は多かったものの、おすすめやガイドが充実しておらず、膨大なコンテンツの中から自分たちで選ぶ必要があり、その選定作業にも時間がかかっていました。
(後藤さん) 私たちが望むような「初心者向けでわかりやすく、長さもほどほどで、すっと頭に入る」コンテンツが少なく、海外っぽいテイストのものが多かったですね。
導入プロセス ― 選定の決め手
AironWorksを選んだ決め手は何でしたか?
(杉保さん) とにかく職員に受講してもらいたいのに、業務のなかではなかなか受講しづらい。そのなかで、ログイン不要という点が一番の決め手になりました。

(後藤さん) 毎日使うグループウェアならまだID・パスワードを覚えていますが、年に数回しか使わないツールでは覚えてもらうのは難しい。ID・パスワード方式のサービスは現実的ではないと判断し、その点で見送った製品もありました。また、前のサービスは教育コンテンツの多くが動画でしたが、当事業団では共用のパソコンにスピーカーがついていない端末が多く、動画は向いていませんでした。その点、AironWorksは静止画・紙芝居形式を選べたことも大きかったです。
導入前後で起こった変化 ― 「疑って連絡してくれる」文化が根づき始めた
導入後、職員の行動にどのような変化がありましたか?
(杉保さん) 職員がメールに対してとても疑い深くなってくれました。以前は問い合わせもせずに開いてしまうこともあったのが、「これは正しいメールですか」と確認してくれるようになり、報告も増えたと感じています。特に2回目のメール訓練では、訓練実施後に配信される教育受講依頼メール——「教育コンテンツを受講してください」といった内容のもの——に対しても「不審なメールではないか」と情報システム部門へ報告をくれる職員が1回目より増えていて、訓練としての反応の変化を実感しています。
教育コンテンツの形式について、現場からの反応はいかがでしたか?
(後藤さん) 静止画・紙芝居形式はまさに私たちの環境に合っていました。コンテンツの内容も日本企業向けにつくられていて、必要以上に長くなく、忙しい現場の職員が仕事をしながら見るのにちょうどよい。現場でも受けやすいと好評でした。
サポートや運用面で印象に残っていることは?
(杉保さん) 導入直後は前のサービスとの違いは最初かなりあり、戸惑いも多くありました。ただ、こちらのやりたい運用に対してこまめに提案をいただけたのがありがたかったです。たとえば、当初は一括で4,900名分しか配信できなかったところを、「分割ではどうですか」と提案していただき、3分割でグループ分けして配信する形にできました。
※本件のサポートは三菱電機デジタルイノベーション株式会社様が対応。

(杉保さん) 準備の負担も大きく変わりました。以前はコンテンツを1本ずつ確認して選ぶのに時間がかかっていましたが、今回は「こういったことを伝えたい」とお伝えすれば、選定済みの案を出していただけるので、そのなかから選ぶだけ。1回目は何度も調整をお願いしましたが、2回目はほぼお願いするだけで済みました。
(後藤さん) 運用を任せたことで、本質的業務にさける時間が増えました。前はこだわればこだわるほど時間がかかっていたので。最初はどこまでお願いできるかわからず少しそわそわしましたが、1回目で「これくらいに依頼すればこれくらいで返ってくる」という感覚がつかめ、2回目はスムーズでした。
ダッシュボードやレポートはどう活用されましたか?
(杉保さん) もっとも使ったのは教育キャンペーンのCSV出力(教育実施状況のCSV出力機能)です。不合格になった職員には必ず受講していただきたいので、CSVを出力して各施設の担当者に渡し、お声かけしていただく運用にしています。また、「最もリスクの高い職員」を一覧で確認できる機能があり、そこに挙がっている職員には直接電話でお声かけしました。改善希望としては、表示が英語のため日本語がデフォルトだと助かります。

(杉保さん) レポートについては、上長から「結果はどうだった?」と言われたとき、CSVで出力してすぐ確認できたのは助かりました。最終的にいただいたレポートの方が、アンケート回答をジャンル分けしてきれいにまとまっており、自分で作ったものよりよかったです。
(後藤さん)訓練が終わるとすぐに「結果はどうだった?」と聞かれることが多いので、終了後2週間程度で、主要なグラフや引っかかり率、施設ごと・職種別のデータを4ページ程度の速報資料として先に出してもらえると、結果報告がしやすくなります。
改善してほしかった点はありますか?
(杉保さん) メールの一斉配信です。職員が同時間帯に受信したことで、職員同士で連絡交換が行われ、すぐに訓練だとバレてしまったことがありました。時間をばらして送れるとより効果的だと思います。
※現在、AironWorksでは一斉配信のほか、ランダム配信も可能となっています。
(後藤さん) 管理画面から職員リストの差し替えができるとありがたいです。職場異動が4月・10月に多いため、施設が変わると施設ごとのパーセンテージが正しく出ないという課題がありました。ただ、自社で全部やるか任せるかはトレードオフなので、バランスだと思っています。
今後のビジョン ― さらなる機能活用へ
今後、AironWorksやセキュリティ面で取り組みたいことは?
(杉保さん) 訓練を始めて2年になりますが、どのようなことができるのか、まだ把握しきれていない部分があります。引き続き、ご提案やご支援をいただけるとありがたいです。
(後藤さん) いただいた提案は一通り、メール訓練と教育コンテンツのシンプルな流れで実施しました。もっと高度なことができるのであれば、ぜひ提案してもらいたいです。

本日は貴重なお時間をいただき、有意義なお話をお聞かせいただき、どうもありがとうございました!


